手裏剣事件第8話「犯人との対峙」

11月5日 月曜日 午後7時頃

 時間は午後7時を過ぎていた。

 清海高校は部活が盛んな学校だが、部活は午後6時30分までという決まりがある。

 体育会系の部活であるサッカー部、野球部、バスケ部は午後6時30分に練習を終了し、部員は午後7時までにはいつも帰宅している。

 この時間では当然全ての部活は終了し、ほとんど全ての学生は既に帰宅していた。

 しかし、そんな時間帯でも動いている人影があった。

 (危なかった……。まさか橋本君が教室に戻っていたなんて、鉢合わせにならなくて良かった)

 この人物こそが今回の事件を引き起こした張本人である。

 (それにしても、瀬川君には助けられた。橋本君に濡れ衣を着せることまでは考えてなかったし、さすがに可哀想だったわ)

 とは言え、山田の大事なCDに手を掛けた時点で、彼女は充分悪い人間と言えるが。

 (それはそれ、これはこれよね。最後の作業はちゃっちゃと終わらせよっと)

 その人物は、体育館の2階にある女子更衣室に向かって歩いていた。少し前に職員室に寄って、女子更衣室に忘れ物をしたと言い、鍵を借りておいたのである。

 そして、電気を付けず月明かりを頼りに、薄暗いなか、ひっそりと女子更衣室の中に入り、鍵付きロッカーの中から何かを取り出し、まじまじと見つめた。

 (それにしてもこんなにうまくいくなんて、私ってなんて頭がいいのかしら)

 そして、それを鞄の中にしまった。

 自分の計画の成果を確認し、気が緩んだ瞬間、女子更衣室の扉が突然開かれた。

「そこまでよ!」

「えっ!」

 そこには我が清海高校の完全無欠の生徒会長、葉月珠姫が挑戦的な笑みを浮かべて立っていた。暗闇の中においても、その目は燃えるように爛々と輝いている。

「やはり、犯人はあなただったのね」

 そう言って、葉月珠姫は手に持っていた懐中電灯でその人物を照らした。

「――1年A組大野静香」

第9話「ラブレターの謎」に続く


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本サイトの管理人。普段は人材会社でWebマーケターとして勤務。本サイトは私が趣味で書いている小説を掲載したものです。