無敵囲い事件第6話「クラスの友達」

「ふー、何か個性的な人達でしたね」

「まあね、いつも一緒にいると楽しいよ」

「それにしても、どういうつながりなんですか? 瀬川さんとあの人達は」

「うん、僕らは……」

 歩が答え掛けたところで、珠姫が遮った。

「あの子達は歩のクラスの友達よ。あなた達4人は同じクラスなのよね?」

「えっ? う、うん」

 将棋探究部のことを話題にしたくないのかな。同じ部活だと言えばいいのに。そんな違和感が歩の心中をよぎる。

「へえー、それはにぎやかで楽しそうなクラスですね~」

 そう言って、鈴原はストローでアイスコーヒーを少し飲み、

「それでは、そろそろ瀬川さんの意見を聴かせてもらえますか?」

 鈴原は、いよいよ歩に事件の謎を解き明かすことを期待している。

 さっき珠姫が唐辛子でいたずらをしたため、鈴原が飲んでいるアイスコーヒーはニ杯目である。ちなみに、香助は席についた途端、「この女、コーヒーくせえ……」と第一声に呟いていた。

「それで、瀬川さん。あの人達の議論から事件のことが何かわかりましたか?」

「うん。おそらくほとんどの謎は解けたと思うよ」

「ほんとですか!」

 目をキラキラ輝かせて、嬉しそうに言う鈴原に対して、歩は自分の推理が否定される可能性があることを遠まわしに告げた。

「この事件には犯人を指し示す完全な物的証拠があるわけじゃないから、犯人を断定することはできない。だけど、少なくとも桂達が提示した三つの謎に対して、それなりに論理的な答えを返せると思うよ」

「凄いですね……。さすが、清海高校が誇る名探偵です」

「但し、最後にどんでん返しが待っているかもしれないけどね」

 歩はそう言って珠姫の目をちらりと見た。珠姫も「わかってるわよ」と目で合図を送る。目だけで会話できるのも付き合いが長い二人だからこそできる技である。

 この時点で彼らは気付いていた。事件の真相、そして桂達が思いも寄らなかった結末に……。

「むぅ……。なに二人で通じ合っているんですか……」

「ごめんごめん、それじゃ、解決編といこうか」

第7話「将棋の駒の謎」に続く


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本サイトの管理人。普段は人材会社でWebマーケターとして勤務。本サイトは私が趣味で書いている小説を掲載したものです。